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2015/08/07

『就活を考える007』 文教大学 小島克巳 教授

~高め合う存在へ~
私の時代の就職活動はまず初めに面接があった。多くの学生が採用担当者と直接話しをすることができたのだ。

現在の就活は第一関門としてエントリーシートが必須になっている企業が多いが、それ自体のハードルが下がってきてしまっているように感じられる。だから学生は興味のある企業に“とりあえず”送っておこうという状態になっている。企業にとってはエントリー数が膨大に増え、目を通すだけでも大変な時間を割いているのではないかと思う。

これは学生、企業にとって有意義な時間になっているのだろうか。

お互いを“見極める”活動にもっと力を注ぐべきだと思うのだ。この企業で働きたい!と強い思いを持つ学生と企業が接触できる機会を増やすことができたらミスマッチも減るはずだ。
例えば、目的を「採用」と明言したインターンシップを積極的に行うこともひとつの手段である。

見極めるハードルを上げることによって、行きたい企業、業界が明確になっている学生にとってはモチベーションがあがる動機のひとつになる。
お互いの意識の持ち方も高くなり、意味のある就活、採用活動になると思うのだ。

~モラトリアムな時間を過ごす~
就活時に自分のやりたいことを明確に見出すことができない学生が多数いることも事実だ。
今は売り手市場であることも影響して、就職先は決まっていく。キャリアセンターも手厚くフォローしてくれるので、だいたいの学生は就職先が決まり無事卒業することができている。

しかし、周りのオトナから用意されたステージで、自分の意のないままに就職していくことは学生たちにとって幸せなのだろうか。
敢えてモラトリアムな時間を過ごすことを選ぶのもひとつの道だ。
大学卒業後も興味のある事について深く勉強してみてもいいし、ワーキングホリデーで海外に行くこともいいと思う。
全てのことにおいて目の前に正解/不正解があるわけではない。正解や正しいと思うことを見つけるまでのプロセスを経験し、楽しみ、味わうことこそが大切であり、意味があることなのだ。

だから就職先の企業では、まずは与えられた仕事を一生懸命取り組んでほしい。
そしてその中で喜びや目標を見出すことにチャレンジする。それを見つけるまでには楽しい時もあるし、たまには辛いこともあるはずだ。しかしこのプロセスを経験してこそ自分自身が成長できるのだ。そして社会における展望が広がり、自分の新たな選択肢を増やすことができる。

~出会いを通して自分を見る~
大学4年間は自分のやりたいことを見つけるためのプロセスの時間として存分に活用することをお勧めする。

そのためにたくさんの人との出会いを求め、行動してほしい。大学内でとどまることなく、積極的に外の世界に踏み出して、未知のものに触れ合う機会を自ら増やすのだ。友人や教員との出会いに刺激を受ける。そして色んな人たちと触れ合う中で多くの価値観に出会う。価値観は一人として同じ人はいない。だからこそ新しい発見や学びを得ることができるのだ。

そして何より人と出会い、接することは、自分を相対的に見ることができるチャンスだ。自分を相対的に見るということは自分では分かっていない面の自分を知ることができるということだ。

自分自身を相対化するということは、自身の可能性を広げるとともに自分の役割・ポジションが少しずつ明確になるということだ。そうすると自ずと今後、自分の方向性ややりたいこと、目標が見えてくる。

今の学生は物怖じせずに新しい場所に踏み込んでいく力がある。その強みを活かし、人との出会いを求めて行動することは今すぐにでも動き出すことができるはずだ。
そして多くの人と出会う中で深く関係性を築くことができる人に、きっと巡り合えると思う。

人は人によって刺激を受け、気付きがあり、学び、成長する。

自らの可能性を広げ、自分を見つめ進化していくために積極的に一歩踏み出し続けてほしい。

◆小島克巳教授プロフィール◆
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程修了。航空会社、国土交通省国土交通政策研究所などの勤務を経て2008年神戸夙川学院大学准教授、2012年同教授。2013年より文教大学国際学部国際観光学科教授。
交通政策、とりわけ航空政策や空港政策を専門としているが、最近は交通政策が観光振興に与える影響や、観光振興が交通事業者の経営に与える影響の分析に関心を持っている。

◆編集後記◆
“視野を広げて”と人に言うことがあります。そして言われることもよくあります。
本を読んでみたり、ネットで調べてみたりと一通りのことは行動する。でもなんだかしっくり来ない。
こういったことは多くの人が経験済ではないかと思います。小島先生のお話をお聞きし、明確になりました。一人の枠の中で行動しても大きな変化はなく、視野を広げることは難しいのです。人は、相手に話す自分の言葉を、自分の耳で聞くことで、自分自身を整理しています。そして相手からの言葉を受け取った時、新しい価値観や新たな気付きと出会うことができるのです。“視野を広げる”方法として、人と接するということは本を読んだりすることよりも、誰にでもできて尚且つ即効性もある一番素晴らしい方法なのです。
学生はこの夏休みを利用しない手はないです!新しい友達と知り合う場に行き、その人と、あるテーマについてお互いの考えや思いを話してみてはいかがですか?そして、その会話を通して相手が自分に抱いた印象をいくつか出してもらいまとめてください。自分でも気付いていない一面が見つかるはずです。新しい出会いは必ず自分に刺激を与えてくれます。せっかくの長いお休み。「自分探しの夏休み」として自己成長の時間に有効に使ってほしいと思います!今後、就活の役にも立つはずです!

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